キッチン (角川文庫)

キッチン (角川文庫)

時折、自分では文章にできそうにない切なさや苦しさや孤独感や空虚感がこの本にはある。他人にとっては些細な事が、自分にとっては涙も出るほど悲しかったり嬉しかったりすること。大切な人を失うと言うのは、何物にも変えられない大きな大きな残像となって、いつまでも心の片隅でまぶしく光輝いていること。楽しい思い出も悲しい思い出も積み重なっていくけど、ゆっくりながら忘れてしまうこと。忘れる事で救われるけど、存在が消えてしまうこと。どうしてこんなに上手に書けるんだろう??